バックナンバー: 2004年5月アーカイブ

No.510

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【癒しのことば】Vol.510 2004/5/31       
 総発行部数:13,624部

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※古今東西の名言から、ストレスを和らげ心を癒すことばをお届けします。
                         毎週 月・木曜日配信
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 「私は人生を、魂の力を試す材料だと考えている」

          -- ロバート・ブラウニング(イギリスの詩人)--

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 あなたにとって、『幸せ』ってどんな状態のときですか?

 きっと、その答えは、人それぞれに違っているでしょう。
 
 たとえば……

 仕事で成功したとき。
 好きな人と一緒にいるとき。
 趣味を楽しんでいるとき。
 サッカーで、ゴールを決めたとき。

 でも、そんな状態にいたとしても、悩みがあったり、腹のたつことがあった
 り、悲しみを抱えたりしていたとしたら、心から『幸せ』を味わうことは難
 しいでしょうね。

 だから、本当に『幸せ』になるためには、悩みや怒り、悲しみがないことが
 大切なようです。
 
 そうは思いませんか?

 ここで、気づいてほしいのは、「悩み」や「怒り」、「悲しみ」がない方が
 いいと思えるとしたら、過去に、そんな気持ちに苦しんだことがあるはずだ
 ということです。

 もし、一度も、「悩み」「怒り」「悲しみ」を感じたことがないとすれば、
 それがどんな状態なのか、どんなふうに辛いのか、そして、そんな気持ちが
 なくなったときには、どれほどすばらしいのかを、本当に知ることはできな
 かったでしょう。

 たとえ、今が『幸せ』だとしても、『幸せ』以外の状態を知らなければ、自
 分が『幸せ』だということにも気づかないでいるでしょう。

 だとしたら、「悩み」を抱えたり、「怒り」を味わったり、「悲しみ」を感
 じるような出来事に出会うということが、私たちにとって、本当の『幸せ』
 に近づいていくことになるのかも知れませんね。


 今、あなたは、何かに悩んだり、怒りや嫉妬にかられたりはしていませんか。
 あるいは、悲しみや苦しみを感じたり、落ち込んだりしていないでしょうか。

 大丈夫ですよ。
 それが、私たちを大きく成長させてくれ、本当の『幸せ』に導いてくれるの
 ですから。

 辛いことがあればあるほど、苦しみが大きければおおきいほど、私たちは、
 もっと大きな『幸せ』を手に入れることができるのです。

 今は、自分らしい『幸せ』に向かう道の途中。


 そして、『幸せ』を感じたら、遠慮しないで、思いっきり楽しみましょう。

 それが、私たちにとって、一番、大切なことなのですから。
 
 さあ、思い出してみてください。

 私たちは、そのために、今、ここにいるのでしょう。
 その『幸せ』を、誰かに広げていくために、生まれてきたのでしょう。

 今日は、どれだけ前に進めるでしょうか。

No.509

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【癒しのことば】Vol.509 2004/5/24       
 総発行部数:13,620部

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 「自分というものがある。
  あるがままで十分だ」

               -- ホイットマン(アメリカの詩人)--

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 そのリンゴ園のリンゴの木たちは、気持ちよさそうに太陽をいっぱいに浴び
 ていました。

 今年も、花をたくさん咲かせて、美味しい実をつけようと願っているのです。
 リンゴの木たちは、小鳥や人間に、自分の実を食べてよろこんでもらえるこ
 とを、何よりの楽しみにしていたのでした。
 
 ところが、1本のリンゴの木だけが、どうも元気がないように見えます。
 
 そのリンゴの木のことが気になったのか、一羽の小鳥が飛んできて、枝にと
 まって、声をかけました。

 「リンゴの木さん、どうしたのですか?
  今年も、美味しい実を食べさせて頂くのを楽しみにしていますよ」

 リンゴの木は、小さな声で返事をしました。

 「ああ、小鳥さん……
  私は、自分の実に、どうしても自信が持てないのだ。
  他の木のように、大きくて立派な実をつけることができないし、味だって
  劣っているような気がする」

 「いいえ、そんなことはありませんよ。
  毎年、このリンゴ園の、いろいろな木のリンゴを食べさせていただいてい
  ますが、あなたの実だって、いつも他の木に負けないくらい美味しいです
  よ」

 小鳥が言っても、リンゴの木は、ため息をつくだけです。

 「いや、どうも私はダメなようだ。
  きっと、この場所が良くないんだろう。他のところよりも、養分が少ない
  土地なのかも知れない。

  それとも、種のとき、根を張るのが少しばかり遅かったせいだとも考えら
  れる。
  
  芽を出そうとしたら、地面に小石があって、苦労したものだ。
  そういえば、私が芽を出した年は、雨が少なくて猛暑が続いていたようだ
  し、枝を伸ばす位置も、少し間違っていたのだろうか……

  私は、毎日、そんなことを考えているんだよ」
 
 「リンゴの木さん、あなたの実が、他のリンゴの実と違っているとしたら、
  きっと、それは、昔の苦い思いが、入ってしまっているからでしょう。

  過ぎたことは、どれだけ苦しくても、辛くても、それはもう終わったこと。
  私たちの思い出のなかにしかないもの。

  昔のことが、「今」を作っているのではなくて、「今」あなたが何を思う
  かということこそが、「今」も「昔」もつくっているのですよ。

  あなたは、もう種ではありませんし、芽だけの存在でもありません。
  種の時に芽を目指したように、芽を出したときに、リンゴの木になるため
  に成長していったように、ただ前に向かうことが、実を実らせるのです。

  私たちが、生きることができるのは、「今」だけ。
 
  そして、「今」をどう生きるかが、どんな果実を実らせるのかを決めてい
  るのでしょうね。

  きっと、あなたらしい、リンゴの実が、一番美味しいでしょうね。
  今年も、ステキなリンゴを、楽しみにしていますよ」

 優しくそう言うと、小鳥は、リンゴの木の枝から、飛び立ちました。
 うれしそうに囀りながら、自分の「今」を、もっと楽しむために。

 過ぎたことは、もう終わったこと……
 「今」をどう生きるかで、どんな実になるかが決まる……

 リンゴの木は、少しの間、考え込んでいるようでしたが、やがて、枝をブル
 ッとふるわせて、胸を張りました。

 さっきとは、別の木のように元気になっています。


 気がつけば、ここは、とってもすばらしいリンゴ園。
 気候の良い豊かな土地に、日は降り注ぎ、小鳥たちが、幸せそうに歌ってい
 ます。

 「もっと、今を楽しもう」

 リンゴの木は、そんな独り言を口にしました。
 
 今年も、きっと美味しいリンゴが、たくさん食べられるでしょう。

No.508

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【癒しのことば】Vol.508 2004/5/20       
 総発行部数:13,668部

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 「どこにも神を見た者はいないが、もしわれわれが互いに愛し合うならば、
  神はわれわれの胸に宿るのである」

                -- トルストイ(ロシアの小説家)--

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 何か問題に出会ったとき(特に人間関係など、相手がいる場合には)、大き
 く分けて、3つの解決法があります。

 たとえば、会社の上司との関係がうまくいっていないとします。

 ろくに話しも聞いてくれないし、いつも人を見下したような態度で、顔を見
 るのもイヤだと思っているのです。


 こんな場合の、ひとつ目の解決法は、「その場から逃げ出す」ということで
 す。

 気に入らない上司と会いたくないのなら、その会社を辞めて、他の会社へ行
 けばいいのです。
 
 もう二度と、見下す態度を取る上司と顔を合わせることはないので、問題は
 すべて解決したはずです。
 これで、気持ちよく仕事をすることができるでしょう。

 ……ところが、どんな会社へ行こうと、毎日、人と接しなくてはなりません。
 なかには、自分と合わない人もいるでしょう。

 たとえ、上司が良い人でも、同僚に苦手な人がいるかも知れません。
 また、見下す態度の代わりに、イヤな仕事を押しつけられることもあるでし
 ょうし、逆に過剰に期待されてしまって、辛くなったりする可能性もありま
 す。

 もちろん、「その場から逃げ出す」ことが、いちばんベストな解決法という
 ことも、まれにはあるでしょうが、一度、この解決法を選べば、何度も転職
 を繰り返さなくてはならなくなることも多いようです。

 なぜなら、本当の問題は、どこへ逃げても追いかけてくるのですから。


 ふたつ目の解決法は、「相手を変える」ということです。

 思い切って、上司に、「見下すのは止めてください!」と口に出してみると
 か、もっと上の人に相談してみるとかで、相手の態度を改めさせることが、
 できるかも知れません。

 でも、それで、本当に、問題は解決したのでしょうか?

 そもそも問題は、上司の見下す態度だけのことだったのでしょうか?

 ひょっとしたら、もっと深いところに問題の根があって、いろいろな未処理
 の感情を、上司の態度に投影していたということも考えられますね。
 
 だから、上司が態度を改めたとしても、やっぱり、どこかに受け容れがたい
 ものを感じるでしょう。

 それに、人を変えようと思っても、なかなか思うようにはいきません。
 いろいろ手を打っても、上司はかえって怒って、意固地になり、ますます
 不快な態度で接してくる可能性の方が高いでしょう。

 これも、うまい解決法とは言えないようですね。


 最後の解決法は、「自分を変える」ということです。

 といっても、多くの場合、人はこの解決法には抵抗を感じるでしょう。

 だって、非があるのは、どうしても相手の方だと思えてしまうから。

 自分は、ちゃんと仕事をしているし、特に能力が劣っているわけでもない。
 それなのに、上司は、無視をしたり、見下した態度をとるのです。

 どう考えても、改めるのは上司の方で、自分が変わる必要など、どこにも見
 あたりません。
 
 絶対に自分は悪くない。
 問題は、相手なんだ!

 ……でも、本当は、その考えや信じ込みこそが問題だということも多いよう
 です。

 相手のイヤなところ、不快を感じる態度は、結局は、自分のなかのイヤなと
 ころ、見たくない面を投影しているのかも知れません。
 だから、受け容れられないのですね。

 それを分析することは、いくらでもできますが、もっと手っ取り早い解決法
 があります。

 その態度を含めて、相手を、そのまま受け容れてみるのです。
 
 そうすると、結果的に、相手だけでなく、自分のなかの問題をすべて受け容
 れることになりますね。

 それが、「自分を変える」ということで、最高の解決法だと言えるでしょう。

 試しに、気になる人がいたら、イヤなところも全部、受け容れてみてくださ
 い。
 どんな変化がありましたか?

 きっと、何かが大きく変わって、問題が問題でなくなっているでしょうね。

 ……ちゃんと受け容れられたとしたら、もう問題が存在している必要はない
 のですから。

No.507

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【癒しのことば】Vol.507 2004/5/17       
 総発行部数:13,785部

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 「自分自身を信頼し、
  自分が欲しいものを生み出せることを信じてください」

          -- サネヤ・ロウマン(アメリカのチャネラー)--

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 「水泳の方法」を教えてくれる本を何冊読んでも、泳げるようになれるかど
 うかはわかりません。
 たくさんの人から、泳ぎ方のコツを教えてもらっても、それだけで、必ず泳
 ぎをマスターできるものでもありませんね。

 確かに、腕の回し方や足の動かし方、どんなタイミングで息継ぎをすればい
 いのかという知識は増えるでしょう。

 でも、実際に泳いでみると、頭で考えるように、うまくいくとは限りません。

 手や足の動きが変になって、身体が沈んでしまったり、完璧に息継ぎをして
 いるつもりでも、水を飲んでしまったり……

 何度も溺れそうになって、そのたびに、いろいろなことを学んで、無我夢中
 で水に飛び込んでいくうちに、気がつくと、泳げるようになっていたりする
 ものですね。

 そう、うまくいかなくても、失敗してもいいじゃないですか。
 そろそろ、飛び込んで、無我夢中になってみてはいかがですか。

 それで、もっと自分らしい生き方ができるようになるのですから。
 本当に、やりたいことに近づくのですから。

 思いっきり生きることを楽しんでみましょうよ。

 あなたは、もう、自分が何をしたいのか、どうすれば、もっとワクワクでき
 るかということの知識は、充分、持っているでしょう。


 
 ゆったりと楽な姿勢をとってください。
 イスに腰掛けたままでも、床やベッドに寝そべったままでも構いませんよ。

 お気に入りの、静かな音楽なんかを流してみてもいいですね。

 では、その姿勢のままで、片腕を首の後ろから回して、自分のほっぺたをつ
 ねってみましょう。
 少し苦しく思えるくらいに、できるだけ腕を伸ばして、ちょっと痛みを感じ
 る程度にほおをつまんでみます。

 どうですか。
 今、楽な状態で、苦しいくらい腕を首の後ろに回して、好きな音楽を聴きな
 がら、ほっぺたをつねっていますね。

 どんな気持ちを感じていますか?

 ここで面白いことをお教えしましょう。

 「首や腕が苦しい」
 そう思えば、本当に、ものすごく苦しくなってきます。

 「ゆったりとした姿勢でいる」
 そこに意識を向ければ、身体が楽になってくるように感じられてきます。
 
 「ほっぺたが痛い」
 そうですね。
 他のことは、もう考えられなくなって、ほっぺの痛さだけが大きくなってく
 るのです。

 「好きな音楽が流れている」
 本当に、生きることはステキだと思えてきますね。

 まったく同じ状態でいるのですが、どこへ意識を向けるか、何を感じるかで、
 気持ちは大きく違ってきます。

 うれしいのは、今の状態で、何を思うのかを選ぶことができるのは、自分だ
 けだということです。
 
 ねえ、本当にそうですよね。


 
 今日1日、きつい肉体労働をすることになりました。

 もし、できるだけ体力を消耗しないように気をつけながら、仕事を続けたと
 したら、きっとすぐに疲れてしまうでしょう。
 
 そして、1日の終わりにはぐったりして、いくら長く眠っても、疲れはなか
 なか回復しないことでしょうね。

 なぜかというと、力をセーブしようという考えが浮かぶのは、1日の自分の
 エネルギー量が決まっていると思いこんでいるからです。
 
 だから、使った分だけ、体力は減っていくのです。

 では、力は使っても、また湧いてくるものだと信じていればどうでしょうか。
 
 力を出し惜しみすることもないでしょう。
 思いっきり、自分の力を出し切ることができるでしょうね。

 もちろん、がんばって力仕事をした後は、疲れ切ってぐったりしてしまうで
 しょう。

 でも、それは心地の良い疲れかも知れません。
 ゆっくりと休養を取れば、きっと、すぐにまた力は回復しているでしょうね。

 だって、力は使えば使うほど、湧いてくるものだと信じているのですから。
 与えれば、与えるほど、より大きなものが手にはいるのですから。

 もちろん、これは、「愛」や「夢」だって同じことですよね。

No.506

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【癒しのことば】Vol.506 2004/5/13       
 総発行部数:13,864部

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 「険しい道こそが、偉大なる高さに結びつくのである」

                  -- セネカ(ローマの哲学者)--

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           ……スーフィー(イスラム教神秘主義)の寓話より。


 はるか遠くの山々で生まれた小川が、長い長い旅の末、広大な砂漠にたどり
 着きました。

 小川は、それまでさまざまな土地を流れて、数多くの障害を乗り越えてきた
 のでした。

 森や草原、固く乾いた地面。
 倒木に行く手を阻まれたこともありましたし、大きな岩にぶつかったことも
 ありました。
 
 そのたびに小川は、ただ流れ続けることによって、そして、ときには、雨を
 受けて激流となることによって、すべてを克服したのです。

 小川は、前に流れ続けることによって、いつかは目標とする場所へ行くこと
 ができると信じていました。

 それは、まだ見たことはないけれど、たくさんの仲間が集まっているところ
 で、「海」とか「湖」とか呼ばれているところなのです。

 「この先に、私が目指している場所がある」
 
 砂漠の前で、小川は、そう確信しました。
 そして、今までと同じように、この障害も乗り越えてみせようと、砂漠に流
 れ込んでいったのです。

 ところが、すぐに砂漠の中に吸い込まれてしまいます。
 何度、流れ込んでも、同じことでした。

 僅かに降る雨を伴って、大きな流れになってみましたが、やはり、少しばか
 り進むと、水がすべて消えてしまうのです。

 小川は途方に暮れました。
 もう、どこへも行くこともできないのです。

 そのとき、砂漠の砂のなかから、こんな声が聞こえてきました。

 「風は、砂を越えて、どこまでも渡っていける」

 それを聞いて、小川は、こう叫びました。
 
 「風は空を舞うからこそ、砂漠の渡れるのだ。私は、空を飛ぶことなどでき
  ない。ただ、このまま砂に飲み込まれていく運命なのだ」
 
 すると、砂のなかの声は、こう囁きます。

 「そうだ。これまでのやり方で突き進んでいっても、砂漠を越えることはで
  きない。本当に、行きたい場所へたどり着くには、風と共に進むことだ」

 「いったい、どうすればそんなことができるというのだ?」
  
 小川が言うと、声が答えます。
 
 「自分を変えて、風のなかに飛び込むのだ」

 小川にとって、それは受け容れがたいことでした。
 今までずっと、自分のやり方で前に進んできました。

 もちろん、何かに飛び込んだこともなかったし、自分を変えようと思ったこ
 ともなかったのです。
 自分という存在を大事にしたかったし、もし、自分を変えたとしたら、もう 
 一度、今の自分に戻ることができるのでしょうか。

 「風は、水を持ち上げて、砂漠を越え、また地上に降ろすことができる。
  水は、雨として落ち、再び地面を流れることができる。

  どちらにせよ、お前は、今の姿であり続けることはできない。
  今のままでいることを選んだとしたら、やがて、すべて砂漠に呑み込まれ
  てしまうだろう。

  お前は、自分の本質を知らないから、今の小川という姿に固執しているだ
  けのことなのだ。
  
  自分の本質に気づけば、変化をしたとしても、やがては、ふたたび小川に
  戻ることができるだろう」

 それを聞いて小川は、自ら変化することを選びました。
 覚悟を決めて蒸発し、風のなかにとけ込んでいったのです。
 
 風は、やさしくその蒸気を受け止め、抱きかかえたまま、砂漠の果てまで飛
 んでいき、そして、静かに雨を降らせたのでした。

 小川の、新しい旅を祝福するために……


 そう、がんばればがんばるほど。
 自分の道を信じて進んで行けば、進んで行くほど。

 やがては、大きな壁にぶつかることになるでしょう。

 それは、「もう充分がんばったね」というメッセージなのかも知れません。

 今が、自分に変化を起こすとき。
 そして、自分の本質に近づくことができるとき。

 きっと、この世界が、そんなことを教えてくれているのでしょうね。

No.505

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【癒しのことば】Vol.505 2004/5/10       
 総発行部数:13,869部

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 「傷ついたのは、生きたからである」

                      -- 高見順(小説家)--

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 穴に落ちてしまいました。

 どんなふうにして落ちたのかは、よく覚えていません。
 突然、足元が崩れたようにも思えます。

 気がつくと、ほの暗く、冷たい穴の底にいたのです。

 身体のあちこちが痛みます。
 落ちたときに、どこかを怪我してしまったのかも知れません。

 今は、ただ、穴の底に横たわっているのです。
 
 しばらく、自分がどうして穴に落ちたのか、何があったのか、どんな原因で
 落ちることになったのかを、思いだそうとしてみました。
 
 でも、気づきました。
 いくらそんなことに思いを巡らせていても、何の意味もない。
 今は、どうすれば、この穴から出ることができるのかを、見つけることが肝
 心だ。

 ずいぶん、時間を無駄にしてしまったような気がします。

 横になったままで見上げると、穴の出口はとても遠くにあるように見えます。
 とても、あそこまで登っていくことなど、できそうもありません。

 穴に落ちたときに負った怪我が、大きいとしたら、大声を出してで助けを求
 めた方がいいのでしょうか。

 それとも、しばらくじっと休んで、体力が回復するのを待って、少しでも穴
 から、脱出する努力をするべきでしょうか。

 横たわった状態では、壁の様子がよく見えず、登っていけるかどうかはわか
 りません。
 
 そうしているうちに、ふと、底に近いところに、横穴があるのが見えました。
 あそこなら、何とか這いながら入っていけそうです。

 でも、横穴のなかは、尖った岩がたくさん突き出ているようです。
 それに、もっと深いところへ通じていそうで、さらに悪い状況に落ち込んで
 しまいそうにも思えます。

 でも、穴から出るためには、その横穴に入るしかないような気がします。
 
 そこに入ると取り返しがきかないとわかっていながら、この状況から逃れる
 ために、思わず引き込まれていきそうになるのです。

 ……どうしようか迷っているうちに、少し痛みが和らいできたので、少しず
 つ身体を起こしてみようとしました。
 とても辛かったのですが、どうにか座る姿勢を取ることができました。

 すると、今まで見えなかったことも、僅かずつ、見えはじめてきたのです。
 
 穴は、思ったよりも高くないこと、そして、壁の少し上方には、手がかり足
 がかりになりそうな岩が、連なっていることなどです。
 
 がんばれば、何とか登っていけそうだ!

 少し、希望が湧いてきました。

 もちろん、身体が言うことを聞かないので、思うように起きあがることは、
 なかなかできません。
 途中で、辛くなって、何度も、もうあきらめてしまおうという気持ちが湧い
 てきます。

 それでも、ただ、この苦しい穴から出るために、ゆっくりと自分のできるペ
 ースで、立ち上がろうとし続けました。

 時間はかかりましたが、ついに立つことができたのです。

 あとは、岩に足をかけて、壁をよじ登って行くだけです。
 まだ、先はありますが、ここまで来れば、もう大丈夫でしょう。

 それに、穴の外からは、かすかに人の声も聞こえてきます。
 気づかなかったけれど、意外に近くに誰かがいるようで、いざとなったら、
 叫んで助けを呼ぶこともできそうです。

 穴から出たら、今後、同じ過ちを繰り返さないために、どうして穴に落ちた
 のかを振り返ってみたいと思っています。
 そして、この経験から、自分が学んだことを、もう一度、噛みしめて、もう
 一回り大きくなりたいものだと考えています。


 悩んだり、傷ついたり、落ち込んだりするのは、穴に落ちたようなものなの
 かも知れません。
 
 立ち直って、さらに大きくなるというのは、こんなことではないでしょうか。

 生きているんだもの、ときには、穴に落ちることもあるでしょう。
 だけど、外へ出るための道は、必ずあるのですよね。

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