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No.474

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【癒しのことば】Vol.474 2003/12/25       
 総発行部数:14,313部
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※古今東西の名言から、ストレスを和らげ心を癒すことばをお届けします。
                         毎週 月・木曜日配信
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 「人生は価値あるものだと信じなさい。
  そうすればあなたのその信念が、人生は価値あるものだという事実を生み
  出すでしょう」

         -- ウィリアム・ジェイムズ(アメリカの哲学者)--

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 「私の生涯で幸福な日々は6日もなかった」

 「人生とは本当に美しいものだと思います」

 
 デール・カーネギーの『道は開ける』という本で触れられているのですが、
 この2つのことばは、歴史に名を残すふたりの偉人が残したものです。

 はじめは、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトが晩年に語ったことば。
 
 そして、後のことばは、ヘレン・ケラーのものです。
 
 栄光、権力、富。望むものをすべて手に入れ、人もうらやむような人生を走
 りきったよう思えるナポレオンは、さぞかし充実して幸福な人生を送ったの
 だろうと思えますね。

 でも、本人にしてみればそれほど幸福ではなかったのでしょうか。

 逆に幼い頃から、盲目で聾、唖という痛ましい三重苦を背負うことになった
 ヘレン・ケラーは、苦しく辛い人生を送ったように見えます。

 ところが、そんなハンデにもかかわらず、彼女は、悪戦苦闘しながら文字を
 覚え、身体障害者の福祉事業に尽力し続けたのです。
 
 その生涯は、とてもよろこびに満ちたものだったのでしょうね。

 客観的に与えられた環境や条件だけを見れば、ヘレン・ケラーよりもナポレ
 オンの方が幸せになれるような気がしますが、実際のところは、そうではな
 いようですね。

 その人が幸せかどうかを決めるのは、与えられた環境ではなくて、人生をど
 う捉えているか、ということになるようです。

 「人生は苦しいもので、幸せを手に入れるのは難しい」
 
 そう思っていると、それを証明することばかりが見えてくることになります。

 本当は、うまくいったことも、そうでないことも同じくらいあったとしても、
 自分の人生の捉え方に合わない「うまくいったこと」は目に止まりません。

 そのかわりに、「うまくいかなかったこと」、「自分は不幸だということを
 思い知らされること」ばかりに心が引きつけられ、「やっぱりなかなか幸福
 なんて手に入らないんだ……」という信じ込みが強化されていくことになり
 ます。

 「人生は楽しい。私は幸せだ」
 
 そんなふうに人生を捉えていると、たとえ生まれ育った環境が恵まれていな 
 くても、いつも自分がどれだけ運がいいかということに感謝できます。
 また、たとえ不幸な出来事に遭遇しても、それは多くのことを学ぶことがで
 きる貴重な経験だと捉えることができるのです。

 そう、自分が幸せかどうか、価値のある人生を送っているのかどうかは、自
 分の心が決めているようですね。

 
 暖かく私たちを見守り、光り輝いている太陽。

 ときには、雲に隠れたり、嵐が起こって見えなくなることがあるでしょう。

 雲や嵐を見れば、今がとても不幸で辛いように思えます。
 
 でも、雲の上では、太陽はいつでも輝き続けているのです。
 それを思い出せば、私たちは、どんなときでも幸せだということに気づくこ
 とができるでしょう。

 もっと心を楽にして……

 もちろん、あなたはもっと幸せになってもいいのですよ。

No.473

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【癒しのことば】Vol.473 2003/12/22       
 総発行部数:14,320部
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 「人生はいい! 
  ただ生きているというそのことがすばらしい!」

            -- R・ブラウニング(イギリスの詩人)--

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 その病室には、4人のおばあさんが入院していました。

 みんな家族や親類が遠くにいて忙しいので、なかなかお見舞いにも来ること
 ができません。
 
 おばあさんたちには、ときたま届けられる手紙だけが慰めで、毎日首を長く
 して待っています。

 ところが、あるときから急に、ひとりのおばあさんにだけ届けられる手紙が
 増えてきました。
 他の3人には、相変わらずめったに手紙が来ることはありません。

 不思議に思った3人は、そのおばあさんに理由を尋ねてみました。
 
 すると、こんな答えが返ってきたということです。
 「うん、待っていてもなかなか手紙が来ないんでね。私の方から、みんなに
  手紙を出すことにしただけなんですよ」


 自分のまわりを「よろこび」や「幸せ」で満たすのは、とても簡単です。
 「よろこび」や「幸せ」の花を咲かせればいいのです。

 たとえば、こんな出来事があったと思ってみてください。

 前々から、楽しみにしていた講演会に行こうとしたら、乗っていた電車の事
 故でかなり遅刻してしまい、後半しか聴くことができなかった。

 そんなとき、
 「なんてツイていないんだ。事故さえなかったら、はじめから講演を聞くこ
  とができたのに…… 損したなぁ。もっと早い電車に乗ればよかったよ」
 などと思いながら講演を聴いたとしたら、残念だという気持ちでいっぱいで、
 何も頭には入ってこないでしょう。

 でも、
 「なんとか間にあってよかった。まだ半分時間があるぞ。さあ、前半を聴け
  なかった分を取りすぞ」
 という気持ちでいたとしたら、たとえ半分しか聴けなくても、学ぶことは多
 くなりそうですね。

 同じ時間を、同じように過ごしたとしても、どちらを選ぶかによって結果は
 かなり違ってくるようです。

 この結果を、自分のまわりに咲く花にたとえてみましょう。

 どんな出来事でもマイナスのところを見れば、マイナスの花のタネがやって
 きて、「イヤだ」「ダメだ」「ツイてない」「私は不幸だ」という花が咲く
 ことになります。

 プラスのところを見るようにすれば、プラスの花のタネが手に入り、「よか
 った」「うれしい」「幸せだ」の花が咲くでしょう。

 何を見るかで、自分のまわりに咲く花が違ってくるのです。
 
 それだけではありません。
 花は、いつか実になり、たくさんのタネをつけるようになります。
 そして、そのタネからは、やっぱり同じ花が咲くのです。
 
 花を咲かせれば咲かせるほど、タネをまけばまくほど、まわりがその花で満
 たされていきます。

 自分のまわりを「よろこび」「幸せ」の花でいっぱいにしたいと思ったら、
 「よろこび」「幸せ」のタネをさがすようにすればいいのですよね。

 ただ、このタネは、出来事のどこかに隠れていて、なかなか見つからないこ
 とが多いようです。
 
 待っているだけでは手に入りません。
 
 必要なのは、「よろこび」「幸せ」のタネは、必ずあるんだと信じる心、タ
 ネをさがしだそうという気持ちだけです。
 それさえあれば、いつでも自分の思う花を咲かせることができるのです。

 だってほら、よく見てみてください。

 見ようという気持ちがあれば、あなたが生きているこの世界は、「よろこび」
 「幸せ」の花が咲き誇っている、すばらしいだということがわかってくるで
 しょう。

No.472

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【癒しのことば】Vol.472 2003/12/18       
 総発行部数:14,340部
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 「すべての不幸は、未来への踏み台にすぎない」

                -- ソロー(アメリカの作家)--

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 江戸時代の儒学者・石田一鼎が、次のようなことを語っています。

 「子供の頃に、不幸を経験した人間の生き方には二通りある。
 
  ひとつは、自分の不幸を呪って、世の中に復讐してやろうと思うような生
  き方だ。

  これは、不幸な経験を活かしてはいない。
  逆に悪用していると言えるだろう。

  その動機は私心から起こり、自分が不幸な経験をしたから他の人にも不幸
  を味わわせてやろうという誤った考え方だ。
 
  もうひとつの生き方は、自分が経験したような不幸は、できるだけ他の人
  たちには味わわせてはなるまいと、世の中のために正しく努力しようとい
  う生き方だ。

  これは自分の不幸を乗り越えて活かしていることになる」
 
 ときに私たちは、不条理としか思えない不幸に出会うこともあります。
 
 特に人間関係に於いて、悩んだり苦しんだりすることが多いようですね。
 
 それが一時的な関係ならば、どんなに深く傷つけられようと心の持ちようで、
 何とか乗り越えていくことはできるでしょう。
 
 そして、世のなかにはいろいろな人もいるし、さまざまな考え方があるもの
 だという気づきをもらったり、他の人には、絶対こんなイヤな思いはさせな
 いでおこうという学びを得ることにもなるのです。

 しかし、それが深い人間関係での不幸だとしたらどうでしょうか。

 たとえば幼い頃に父親から酷い虐待を受け続けた、あるいは自分の子供が難
 病を持って生まれてきたといったような場合です。

 それはもちろん、とても辛い経験でしょう。
 どうして自分だけがそんな過酷な運命に出会わなければならないんだと、世
 の中を呪う気持ちを持っても当然かも知れません。
 
 でも、こうも考えられます。

 避けられない関係の相手だからこそ、神さまは、自分にその運命を与えたの
 だと。
 自分は、他の人には乗り越えることができない、特別の課題に出会うことに
 よって、何か大きなものを学ぶ存在であるのだと。

 そして苦しさに負けずに、自分らしく生きることを選ぶことが、相手にとっ
 ての学びにもなっているのかも知れません。

 神様は、その人が背負いきれない不幸など与えることはないのです。
 ただ、それを乗り越えたときの、すばらしい未来があるだけです。

No.471

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【癒しのことば】Vol.471 2003/12/11       
 総発行部数:14,407部
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 「本当に心を満足させる幸福は、私たちのさまざまな能力を精いっぱいに行
  使することから、また私たちの生きている世界が充分に完成することから
  生まれるものである」

          -- ラッセル(イギリスの哲学者・数学者)--

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 先日お会いした人から、面白いことを教えてもらいました。

 ウサギとカメの童話についてなのですが、競走の勝敗を決めたのは、何を目
 標としていたかの違いだというのです。

 ウサギは、競走相手、つまりカメに勝つことだけを目標にしていました。

 だから、とにかくカメよりも速く走ればいいわけです。
 そこに気を抜いて油断する心のゆるみも生まれたのでしょう。

 それに比べてカメは、ゴールに着くことを目標にしていました。

 相手が速かろうが遅かろうが、とにかく自分の力のすべてを出して目的地に
 付くことを目指したのです。

 なるほどと思いました。

 もちろんこれは寓話ですから、実際にウサギとカメを競走させてみれば、ウ
 サギの方が速いに決まっています。

 目先のことだけを見ていれば、速い者が勝ち、遅い者が負けることは確かで
 しょう。
 また、今のような社会では、ウサギの方が要領よく生きていけるように思え
 るかも知れません。

 でも、もっと長い目で見てみれば、どうでしょうか。

 相手に勝った負けたと一喜一憂していて、とにかく目先の目的地もわからな
 くなってしまうかも知れません。

 それよりも、たとえ人より遅れようが、損をしようが、いつも自分のゴール
 を見て、ベストを尽くすということを続けていれば、最終的には成功を手に
 することができるでしょう。

 この成功とは、何も人より出世するとかお金持ちになるとかいったことばか
 りとは限りません。

 自分らしく楽しく生きることができれば、それがいちばん心豊かだというこ
 とになるのではないでしょうか。

 「成功」と聞いて、思わず出世やお金持ちになるというイメージが湧いてく
 るとしたら、知らず知らず「ウサギ」型の人生を生きているのかも知れませ
 ん。

 もっとも、それが本当に自分の欲しいものであれば問題はないのですが、実
 際には物質的には豊かでも、心のなかでは虚しさを抱いている人も多いよう
 です。

 もちろんウサギがウサギらしく自分のペースで競走することにすれば、こん
 なに強いことはないでしょう。

 でも、そうだとしたら、そもそもこんな競走をすることもなかったでしょう
 ね。


 ※今回は、書籍「癒しのことば3」収録のもので、メルマガ未掲載のものを
  載せさせていただきました。

No.470

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【癒しのことば】Vol.470 2003/12/8       
 総発行部数:14,389部
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 「できない、才能がない、もう限界だ、私には難しすぎる、
  そう信じないようにすれば、自分にとって一番大切なことを実現できる時
  期は早まる」

  -- リチャード・ブロディ(元マイクロソフト社プログラマ)--

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 2匹のカエルが強い風に飛ばされて、別々の牛乳ビンのなかに落ちてしまい
 ました。

 はい上がろうとしても、ビンはツルツルと滑ってしまいます。
 飛び上がろうにも、足場がないのでうまくいきません。

 1匹のカエルは、
 「なんでこんなところにビンがあるんだ!」
 と怒鳴りはじめました。

 それでもどうにもならないとわかると、今度は、
 「いつも私だけが、こんな目に遭うんだ。どうしてこうツイていないんだろ
  う……」
 と自分の運命を嘆き、自分がいかに不幸続きだったのかをぼやきます。

 そのカエルは、すぐに生きることをあきらめ、牛乳ビンの底に沈んでいって
 しまいました。

 
 もう一匹のカエルは、自分に身に降りかかった不幸を嘆いたりはしませんで
 した。

 足を蹴り上げたり、跳び回ったり、何とかこの苦境を切り抜けよう、生き残
 ろうと、自分ができる精一杯のことをやり続けたのです。

 一晩中もがき続け、もはや力つきて動きをやめたとたん、不思議なことに自
 分の身体が沈まずに、浮き上がっていることに気づきました。

 なんと、カエルが牛乳をかき混ぜ続けたので、牛乳がバターに変わってしま
 っていたのです。
 
 足場ができたので、カエルは、悠々と跳んで牛乳ビンの外へ出ることができ
 たということです。


 人生は、いつも自分の思いどおりになるものではないし、ときには理不尽に
 思える不幸な出来事に出会うこともあります。

 そんなとき、ついつい私たちは、その問題の原因になったものや人に怒りを
 感じてしまいます。

 問題の犯人探しをすれば、いくらでも悪い犯人はみつかるでしょう。

 でも、それで問題が解決することはありませんし、自分の問題だと受けとめ
 ることができないと、何とかして解決しようという気力も沸いてきませんね。

 あるいは、自分の運命を嘆いて、「もうどうしようもないんだ」と落ち込ん
 だり、「自分にはその困難を解決する力はないんだ」と、あきらめてしまう
 こともあります。

 そうすれば、自分の力で何もする必要がないので、ある意味、とても楽なこ
 となのです。

 ただ、その選択は、自分の運命を呪ったカエルのように死をもたらさないま
 でも、自分を小さく限定してしまうかも知れませんよ。

 次に同じような問題に遭遇したときにも、やはりすぐにあきらめてしまうこ
 とになるでしょうし、自分の大切な目標や夢を叶えることができる力を信頼
 できなくなってしまうのです。

 
 逆に、どんなに大きな困難が降りかかろうとも、それを自分に与えられた試
 練と受けとめ、なんとか自分の力で乗り切ろうとすることもできます。

 自分ができる精一杯のことをやれば、一晩中もがき続けたカエルのように、
 なんとか道はひらけてくるかも知れませんし、その経験から学ぶことは、と
 ても大きな意味があるはずですね。

 何より、前に向かって進んでいく自分自身を信頼することができるのです。

 大切なのは、自分が出会う出来事ではなくて、自分がその問題にどう立ち向
 かっていくことなのですね。


 出来事を見るのではなくて、自分にできることは何か、どうすれば自分の望
 む状態を創りだすことができるかを見るようにしてみましょうよ。

 辛いとき、苦しいときほど、大切なことをたくさん学ぶことができます。

 そう、自分の夢を実現させるために大切なことを……

No.468

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【癒しのことば】Vol.468 2003/12/1       
 総発行部数:14,451部
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※古今東西の名言から、ストレスを和らげ心を癒すことばをお届けします。
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 「いちばん幸せなのは、幸せなんて特別必要でないと悟ることだ」

       -- ウィリアム・サローヤン(アメリカの小説家)--

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 ロシアの文豪、トルストイが残した創作民話に、『世界で一番幸せな人』と
 いう作品があります。


 ある国のお姫さまが重い病気にかかりました。
 どんなお医者さまでも、お姫さまを治すことができず、とうとう有名な占い
 師を招いて見てもらうことになりました。

 すると占い師は、
 「お姫さまは、ただの病気ではなく、心の病にかかっているようじゃ。治す
  には、この国で一番幸せな人が着ているシャツを手に入れ、お姫さまに着
  せることが必要じゃ」
 と告げるのです。
 
 王様は、家来たちに、その国で一番幸せな人を見つけるように命じました。
 
 ある家来は、きっと一番のお金持ちが一番幸せなのだろうと考え、黄金で飾
 られた豪華な屋敷に住んでいる人のところを訪ねました。
 「あなたは、とても立派な家に住んで、たくさんの財宝を蓄えておられるよ
  うだ。さぞかし幸せに生きておられるのでしょうね」

 ところが、お金持ちは、こんなことを言うのです。
 「何をおっしゃる。私は、自分の財産を管理するのに、いつも大変な思いを
  しているのです。盗まれはしないか、災害に遭ってすべてを失いはしない
  か、と夜も眠れぬくらいです。とても幸せなど感じている余裕はありませ
  んよ」

 別の家来は、国で一番美しい人のところへ行きました。
 「あなたは、人もうらやむ美貌を持っている。きっと、とっても幸せでしょ
  う」

 「いいえ、そんなことはありません。私は確かに、見かけはキレイかも知れ
  ません。しかし、そのために外見ばかりを気にする人や、見かけに惑わさ
  れる人ばかりが寄ってくるのです。誰も、本当の私のことをわかってはく
  れないのです」

 美しい人も、自分は幸せでないと言うのです。

 そんなことの繰り返しで、家来たちは、なかなか幸せな人に出会うことがで
 きません。

 夕暮れも近づいていた頃、ひとりの家来は、貧しい人たちが暮らしている路
 地裏を、とぼとぼと歩いていました。
 こんなところに、とても国で一番幸せな人などいるわけはないと思っていた
 のですが、他にもう行く当てもなかったのです。

 すると、一軒のあばら屋から、こんな声が聞こえてきました。
 「今日も一日、忙しかったけど何とか無事に終わったぞ。ああ、私はなんて
  幸せなんだ。住む家もあるし、今日は食べるものもある。こんなに幸せ者
  は、他にはいないだろうな」

 家来は、あわてて、そのあばら屋に飛び込びました。
 「とうとう国で一番幸せな人を見つけたぞ! お姫さまの病気を治すために、
  あなたのシャツが、是非とも必要なのです」

 だけど、家来がその人をよく見てみると、裸同然で、まともなシャツも持っ
 ていないような人だった、ということです。

 
 私たちが、自分を不幸だと思ったり、人生に不満を感じているときは、たい
 ていが「ない」ものを見ているときのようです。

  お金が足り「ない」から、幸せになれない。
  私には、あの人のような才能も力も「ない」から、ダメなんだ。
  何がしたいのかわから「ない」。

 「ない」ものがあるから、それを手に入れるために、がんばったり知恵を絞
 ったりして、成長していくことができるのだと考えることもできるでしょう。

 でも、「ない」ものばかりを見ている限り、たとえそれを手に入れたとして
 も、すぐにまた別の「ない」ものが見えてくるでしょう。
 持てば持つほどもっと欲しくなるものですし、がんばって手に入れたものは、
 がんばって持っていないと、失ってしまうように思えます。

 どんなに才能に恵まれていても、経済的に豊かでも、「ない」ものに意識が
 向いている限り、お姫さまのように、心から幸せを感じることはできないで
 しょう。

 逆に、自分に「ある」ものを考えてみたらどうでしょうか。
 
  得意なこと、人より少しでも優れているところが「ある」。
  立ったり、歩いたり、考えたり、喋ったり、できる力が「ある」。
  食べたり、ときには欲しいものを手に入れるだけの豊かさが「ある」。

 もっといろいろ自分に「ある」ものを探してみたら、どんな気持ちがしてき
 ますか?
  
 お姫さまは、たとえボロボロでも、「ある」ものを見ていた人からもらった
 シャツを着てみたら、どんなに自分が恵まれていたのか、ということに気づ
 くことができたのでしょう。

 きっと、心の病から解放されて、幸せになったでしょうね。

 お姫さまではなくても、私たちだって幸せになれますよ。

 私たちは、自分が思うよりもずっと豊かなのです。
 「ある」ものに意識を向けると、それが見えてくるでしょう。

 まず、今、ここに生きていて、自分という存在が「ある」のです。
 自分のやりたいことを、やりたいと思う心が「ある」し、そこに向かって進
 んでいこうという気持ちも「ある」のです。
 
 そのために必要な力も「ある」し、無限の可能性も「ある」はずです。

 もちろん、幸せだって、ずっとここにあったのですよね。

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