No.559 中村天風
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「生きる正しい法を知って生きたら、人生くらい愉快な、人生くらい恵まれ
た、人生くらいありがたいものはないんです」
– 中村天風(『成功の実現』より)–
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クツのなかに小石が入っていると、とても履き心地が悪いですね。
小さすぎたり大きすぎたりするクツを履いているのも、歩きにくいものです。
その状態を何とかしたいのなら、クツを脱いで小石を取り除くか、自分の足
に合うクツに履き替えるしかありません。
間違っても、小石入りのクツを履いたまま、この履き心地の悪さを改善して
くれるところはないか、誰か直してくれる人はいないかと、探して歩き回る
人はいませんよね。
あるいは、クツのサイズに合うように、自分の足を小さくしたり大きくした
りしようとがんばる人だって、いないでしょう。
仕事や人間関係でのトラブル。
改善したいと思っている悪習。
いつも抱え込んでいるストレス源。
そんな、邪魔な小石が入っていたり、自分には合わないクツは、無理をしな
いで、さっさと脱いでいらないものを捨て去るか、新しいクツに履き替えま
しょう。
それが、一番手っ取り早くて、確実に楽になる方法なのですから。
手が入るくらいの大きな箱に、ひよこが何匹か入っています。
穴から手を入れて、ひよこを捕まえたいと思っています。
そんなとき、「絶対に掴んでやるぞ!」と意気込んで、やたらに手を振り回
したりしたら、ひよこは、どんどん逃げていくだけです。
じっと待ち構えて、近づいたら捕まえてやろうと狙っていても、そんな気配
を察知して、やっぱりひよこは近づいてこないでしょう。
もちろん、手を入れずにただ見守っていれば、ひよこは、近くに来て自由に
遊ぶでしょうが、それではいつまでたっても捕まえることはできませんね。
そんなときには、「ひよこを捕まえよう」という気持ちを捨てて、「ひよこ
が大好きだ」と思ってみることです。
そんなふうに、あたたかい気持ちで心をひらいて待っていると、きっといつ
かは、ひよこが手のなかに入ってくるでしょう。
『夢』や『幸福』、『愛』、も同じです。
一生懸命に追いかけても、なかなか手に入りませんが、ただ、信じて心をひ
らいて待っていれば、いつかは必ずやってくるものです。
そして、それが本当のはじまりなのですよ。
これからひよこに愛情を注いで、立派なニワトリに育てていく楽しみが待っ
ているのですから。
大きな湖に、波風ひとつもなく、水面を揺らす魚もいないとしたら、ずっと
穏やかでガラスのような湖面でいるでしょう。
それは、本来の湖の状態なのでしょうが、いつまでもそのままだと、いつか
それが湖であるということさえわからなくなってしまうかも知れません。
ときに風が波を立て、木の実が落ちたり魚がはねて湖面を揺らす。
だからこそ、それは湖だし、この世界に存在しているんだということに気づ
いたりするのです。
……と、そんなふうに思ってください。
何の問題も葛藤もなく、ただ平安であるがままに生きている。
それが、本来の私たちなのです。
風がさざ波をたてたり、何かが落ちてきて湖面を揺らすのは、私たちに気づ
きと成長のきっかけを与えるためなのです。
そのままでは知ることができなかった、自分を傷つけている行動に注意を向
けたり、新しいステージに進むときがきたことを教えてくれていたりしてい
るのでしょう。
どんなことが起こっても、すべては、私たちがもっと本来の自分でいられる
ように、好きなことは好き、嫌いなものは嫌いと胸を張って言えるようにな
るためにあったのです。
……ね、ちょっと心をゆるめてみるだけで、少し意識を変えてみるだけで、
今、この瞬間に生きているということが、どれほど楽しくて、すばらしくて、
ありがたいものかが見えてきますよね。
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2004年10月13日
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