No.788 ナンシー・H・クラインバウム
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「今日を楽しめ。
自分自身の人生を忘れがたいものにするのだ」
– ナンシー・H・クラインバウム (アメリカの作家)–
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この世界を、幸せで満たしたいと願う男がいました。
すべての人々がよろこびを感じながら生き、どの国のどんな地域も平和であるように。
……そのためには、何が必要なのか?
どれくらいのお金があったら、この世の人々が幸せになれるだろうか。
どんな発明品があれば、世界中の人々が豊かに暮らせるのか。
何があったら、世界は平和に満ち溢れるのか。
男は、毎日、そんなことばかりを考えて過ごしていました。
でも、ひとりだけでは、何も良いアイデアが浮かびません。
自ら働きかけもしてみたのですが、少しばかり人助けをしてみても、それが多くの人の幸せに繋がるとは思えません。
悩み苦しんだ男は、いろいろな場所に出かけて、いろいろな人に話を聞いてまわりました。
宗教家、哲学者、平和運動者……
ときには彼らと一緒に、彼らを信じる人々のために、奉仕活動をしてみたこともあります。
確かにその場では、満足そうな顔をしてくれる人もいました。
しかし、それが本当に、すべての人々の幸せに繋がるのだろうか?
他の考え方を持っている人々はどうなるのだろうか?
男には、なかなかこれだという答えはみつかりませんでした。
あるとき、疲れ果てた男が歩いていると、小さな子供が上を見上げてべそをかいているところに出くわしました。
どうやら、持っていた風船が手を離れていって、高い木の枝に引っかかってしまったようでした。
とても子供の手が届くような高さではありません。
子供は、風船を取り戻そうと、必死になって何度も何度も飛び上がって手を伸ばすのですが、ただ空をかくだけです。
「待っていな。おじさんが風船を取ってあげるよ」
今にも泣き出しそうな子供に向かってそう言い、男は木を上りはじめ、何とか風船を持って降りてくることができたのです。
風船を受け取った子供は、パッっと顔を明るくしてはじけるような笑顔を見せました。
「ありがとう」
元気な声でそう言って、スキップをしながら走っていくのです。
その後姿からは、よろこびの光が輝いているような気がしてきます。
男の顔も手も、木の枝にひっかけて傷だらけです。
着ている服もボロボロに破れ、埃がいっぱいついています。
それでも、この瞬間、男の心は、幸せに満ち溢れていました。
そして、やっと悩んでいたことの答えをみつけたのでした。
この世界を幸せで満たすのには、ただ幸せな人を増やしていけばいいだけのことだったのです。
難しいことではありませんでした。
何も悩んだり、苦しんだりすることはなかったのです。
そのとき自分ができることをやってあげて、それで、ひとりでも幸せに感じてくれる人がいればいいだけのことだったのです。
それから、何よりも大切なこと。
幸せな人を増やすためには、まず、自分自身が幸せになること。
……それは、今、この瞬間を思いっきり楽しむこと。
今日の自分の光が、やがては数多くの光につながり、この世界がもっと明るくなっていくのですよ。
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2007年08月23日
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