No.548 三島由紀夫
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「傷つきやすい人間ほど、複雑な鎧帷子(よろいかたびら)を身につけるも
のだ。
そして往々この鎧帷子が、自分の肌を傷つけてしまう」
– 三島由紀夫(小説家)–
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一艘のヨットを持っている人がいます。
ずっと乗り続けてきたヨットですが、昔は、あまり満足できなかった時期もありました。
他の人のヨットと比べてみると少し不恰好に思えますし、それほど早く進むこともできません。
風に乗って自分が行きたいところへ走っているときにも、他のヨットが向かっている方向の方が、いいことがありそうな気がしたりします。
向かい風にあおられてうまく進めないときなど、ついつい違うところに向かってスマートに走っていくヨットの後を追いかけてしまいます。
そんなときには、たいてい目的地に着いても、そこは自分が心から望んでいた場所ではないという失望を味わうことになりましたが……
でも、あるとき、すばらしいことを教えてもらいました。
「みんな、それぞれ持っているヨットが自分にとっては最高のものだ。
他のヨットと比べることはないんだよ。自分のヨットを好きになって信じていれば、すべてはうまくいく」
それで今は、自分のヨットが大好きになっています。
他のヨットと比べることはないのです。
このヨットを信頼していれば、何とかしなくてはとあせる気持ちも起こりませんし、コンプレックスを感じることもありません。
だから、今は、ヨットを岸につないで大事にしています。
海を走らせると、汚れたり傷がついたりするかも知れませんし、どうしても他のヨットが眼に入り、比べてしまったりしてしまうからです。
行きたいところがあるのはわかっています。
そこに向かって吹いている風も感じることができます。
でも、大好きで信じている自分のヨットを、苦しめるわけにはいきません。
そして、今日も、自分のヨットを守っているのです。
……ナンバーワンを目指す必要はなくて、オンリーワンであればいい。
確かに、その通りなのでしょう。
しかし、それを前に進まない言い訳にすることは、あまり意味があることとはいえませんね。
ちょっと考えてみてください。
「他と比べることはない」と強くこだわったり、海へ出て他のヨットと一緒に走らせると傷ついてしまうと思ってしまうのは、本当には自分のヨットを信頼できていないからなのではないでしょうか。
心から自分のヨットが好きで信じているのなら、今すぐ、追い風に乗って行きたいところへ向かうことができるでしょう。
もちろん目的地は、他のヨットと比べる必要はありませんし、スピードもマイペースでいいのです。
どんな進路を取ろうが、どこの港でどれだけ休もうが、これは自分の思いに任せればいいでしょう。
だって、自分が行きたいところに行くために、そのヨットを持っていたのでしょう。
風はいろいろな方向から吹いています。
ほら、あなたの目的地へ向かう風だって、ちゃんと感じることができるでしょう。
人生だって、そうですよね。
本当に自分を受け容れて信頼していれば、ありのままで望むところへ向かって進んでいくことができるはずです。
自分を守ろうとしたり、前に進むことを恐れることはないのです。
もっと広い世界を楽しみましょうよ。
誰とも比べることはなくて、ただ自分のままでいれば、自分が行きたいところ、手に入れたい目標を感じることができるでしょう。
そこに向かう追い風は、必ず吹いています。
私たちは、そこへ行くために、この世界に生まれてきたのですから。
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2004年09月27日
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