No.497 カール・ロジャース
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「自分を素直に出せるなら、今のままの自分で十分です」
– カール・ロジャース(アメリカの心理学者)–
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「このカーナビゲーションは、いかがですか?
とても親切丁寧に、進むべき道を教えてくれるので、これさえあればもう道に迷うことはなくなりますよ」
お店の主人にそう言われて、その男の人は目を輝かせました。
何しろ方向音痴なので、道を間違えてしまうことが多かったのです。
「それはいい。本当にわかりやすく道を指示してくれるなら、とてもステキですね」
「それだけではありません。このカーナビは、何と、あなたに代わって、今、自分がどこへ行ったら一番いいのかまで判断して教えてくれるのです」
何だかよくわかりませんでしたが、彼は、そのカーナビを買って、早速、分の車に取り付けました。
「さあ、どこへ行こうか?」
運転席に腰掛けて、彼はそんなことを考えはじめました。
……そうだ! 前から考えていた、あの資格学校の案内を取りに行ってみよう。
彼は、今の仕事は自分に合わないような気がしていて、いつか転職するために、その資格を取りたいと考えていたのでした。
でも、いつも先延ばしになっていたのです。
すると、突然、カーナビからこんな声が聞こえ出しました。
「今から本屋さんへ行きましょう。まず、この道をまっすぐに進んでください。そして、2つ目の信号を……」
彼はびっくりして、カーナビに向かって言いました。
「何を言っているんだ。僕は、今から資格の学校へ行くんだぞ」
「ダメです。あなたは、本屋さんに行って、今の仕事に必要な知識が書いてある本を買うのです。来月の昇進試験のための対策です」
「僕は、いつか資格を取って、会社を辞めようと思っているんだ。昇進試験なんて受けるつもりはないよ」
「何を言っているんです。そんなに簡単に転職などできるわけがありません。
それよりも、安定した今の会社で、認められるようにがんばりましょう」
それもそうかなぁ、という気もしてきたので、彼は本屋へ行くことにしました。
しかし、好きでもない仕事の何冊か本を買って、車に乗り込むと、何だかドッと疲れが出てきました。
早く家に帰ってくつろぎたいと思います。
ところがカーナビが、今度は、こんなことを言い出すのです。
「今から、スポーツジムへ行きます。せっかく会員になっているのに、最近全然行っていないようですね。健康のために、1時間ほど身体を動かすのです」
……次の日、彼は、そのカーナビを買ったお店へ向かいました。
「このカーナビは、返します。はじめは、どこへ行くのか決めてくれて便利だと思っていたのですが、教えてくれる場所が、本当に、自分が行きたいところではないような気がするのです」
店の主人は、こう言います。
「そうですか。お気に召しませんでしたか……
では、こっちのカーナビならどうでしょう。行くべきところなどは教えてくれませんが、あなたが行くと決めた場所から離れた道へ進もうとすると、間違っていると警告してくれるのです」
彼は、そのカーナビを試してみることにしました。
車に取り付けて、しばらく様子を見ていましたが、今度のカーナビは、何も言いません。
安心して、これから行くところを考えようとしましたが、特に行きたいところもないのです。
彼は、カーナビの調子を見ようと、とりあえず車を、あちこちと走らせてみました。
カーナビは、ずっと黙ったままです。
そのうち、とうとう道に迷ってしまいましたが、それでも、カーナビは何の声も出さないのです。
彼は、「故障しているのか!」と腹を立てましたが、仕方がありません。
何時間も苦労して、何とか知っている道まで戻ることはできました。
「この道は、あの資格の学校へ近いな」
ふとそんなことに気がつきます。
彼は、この機会に案内を取りに行こうかなと思いました。
でも、ちょっと疲れていたし、お腹もすいてきたいます。
彼は、「案内は、またいつでも取りに来ることができるんだから……」と、家に帰ることに決めて、車を発進しました。
帰り道の途中で、彼は、考え直しました。
そう、いつも、そんなことを繰り返していて、なかなか案内を取りに行けなかったのです。
「今日こそは、転職の夢の実現化の第一歩を踏み出すために、案内を取りに行こう!」
彼が、車の方向を変えようとしたとき、カーナビが、突然、大声を出しました。
「道が違っていますよ! 家に帰るためには、そっちへ行ってはダメです!」
「ああ、わかったわかった」
彼は驚いて、車を元の道に戻しました。
次の日、彼はまた、そのカーナビを持って、お店に行きました。
そして、店の主人に文句を言いました。
「まったくもう、これも使いものにならないよ。
いくら行きたいと決めたからって、途中で、本当に行きたいところは別のところだって気づくこともあるだろう。
変更できないなんて……
もし、2つを合わせたようなカーナビがあるといいんだけどなぁ。
自分が本当に行きたいところを教えてくれて、しかも、道を外れると警告してくれるような……」
店の主人は、困ったような顔をして答えました。
「そんなカーナビは、あることはあるのですが、お売りするわけにはいきませんね」
「どうしてなんです?
そんなにすばらしいものがあるのなら、ぜひ手に入れたい」
「だって、あなたは、すでに持っているじゃあありませんか。
本当に行きたいところを知っていて、いつも教えてくれている。
そして、もし違う方向へ行こうとしたら、いろいろなメッセージをくれて警告してくれるもの。
それは、あなたの心のなかにあるのですよ。
ただ、うまく使えていないようですね。
もっと、それを信頼して、素直な自分自身でいれば、二度と道に迷うことなどないのですよね」
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2004年03月22日
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