No.792 木村和巨
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「この苦しみは天が与えてくれた試練だ。
おれにへこたれるなと言っているんだ」
– 木村和巨(三貴社長)–
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中学生の頃、私は釣りに凝っていて、よく弟とふたりで海釣りに出かけたものでした。
当時は、住んでいた家から30分ほど電車に乗れば、防波堤のある絶好の釣り場へ行けたのです。
釣り方は、主に投げ釣りです。
錘をつけた釣り針を、リールつきの竿で遠くに投げ込み、海の底を引きながら獲物が掛かるのを待つというものです。
エサには、ゴカイというミミズのような虫を使います。
今ではとても触ることすらできませんが、当時は、平気だったのですね。
ある日、エサを釣り針に付けようとしていたときに、誤って錘ごと針を落としてしまい、針が人差し指の先に刺さってしまったことがありました。
「痛い!」
思わず声を上げてしまうほどの、熱い衝撃です。
見ると、指の腹を貫いて、針の先が顔をのぞかせているのです。
あっという間に血がどんどん滴り落ちていきます。
私は、あわてて針を抜こうと、針の根本を持って必死で引っ張りました。
痛みで頭は真っ白、大変だという思いで全身パニック状態。
怖くて指を見ることもできず、ただグイグイと針を引っ張ってみます。
ところが、針はなかなは抜けてはくれません。
それどころか、引っ張れば引っ張るほど、痛みは激しくなっていくようです。
どうしていいかわからず、泣きたいような気分です。
「オイ、そんなことしちゃダメだ!」
そのとき、近くにいたおじさんが、いきなり私の手首を掴みました。
そして、持っていたペンチのような工具で、私の指先に食い込む針の根本をプツンと切ってくれたのです。
その針の先の方を持って引っ張ると、あっさりと針は抜けてしまいました。
そうなってから、やっと思い出しました。
釣り針の先には、掛かった魚が抜けないように、先端と逆方向にかえしという尖った突起がつけてあるのです。
指先に刺さった針を抜こうと思っても、抜けないどころか、かえしが肉に食い込んでさらに傷が大きくなるばかりだったのです。
冷静になって考えると、そんなことは充分に承知していましたし、落ち着いて行動していれば、それほどの痛い思いをすることもなかったのでした。
……だけど、そのときは、とにかく焦って、針を抜くということしか考えられなくなっていたのですね。
針先に押してみれば、簡単に抜けたはずの針でも、何とか引き抜こうとがんばって、余計に痛みを増し、傷を大きくしていたのですね。
最近、ふと思いました。
人生でも同じようなことをしているのではないかと。
苦しい状態になれば、嫌な出来事が起これば、そこから逃げることばかりで頭が一杯になり、かえって自分を追い詰めてしまっている。
落ち着いてよく考えてみれば見えてくるはずのものを、目の前のことだけを見ていて気がつかない。
本当はもっと単純なことなのに、自分で難しくしてしまっている。
生きていれば苦難や不運は、必ずやってきます。
そこから逃げ出すにしろ、立ち向かうにしろ、ただその苦しみだけを見ているのなら、余計に辛くなってしまうのではないでしょうか。
苦難に出会ったら、とにかく一度深呼吸をしてみようと思います。
どうしたら、この問題をいちばん良い形で乗り越えることができるのかを、心を落ち着けて考えてみたいと思います。
苦しみは天から与えられたメッセージ。
自分がより大きくなるためのチャンス。
それさえ思い出すことができれば、すべてはうまくいくのでしたよね。
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2007年09月03日 コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |
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