No.699 中谷彰宏
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「どっちにすればいいか分からないときは、
どっちにしてもうまくいく」
– 中谷彰宏(作家)–
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気がつくと、あなたは細い綱の上を歩いています。
ふらふらと揺れる綱を、落ちないように、何とかバランスを取りながら恐る恐る進んでいるのです。
さっきまでは無事に歩いていられたのですが、今は、何だか身体が傾いてしまいます。
ふと目をやると、いつの間にか、右腕で少し重みのある木箱を抱えています。
そういえば、少し前に、とても大切なものを、落としたり誰かに盗られたりしないように、この木箱に入れたような記憶があります。
あなたは、それを思い出して、木箱を抱える腕に力を入れました。
でも、このままでは、木箱の重さで身体が傾いてバランスが取りにくいのです。
そこで、一生懸命にまわりを探して、同じくらいの重さの箱をみつけて、左腕に持つことにしました。
これで左右のバランスは、少しは取れたような気がします。
ところが、今度は、どうしても身体が前の方に傾いてしまいます。
両手に持っている箱のせいのようです。
あなたは、さらに別の重い箱を探し出し、背中に背負ってみます。
さっきよりは、バランスは取れそうですが、どうも、右の前の方が重過ぎるようで、歩いている綱から落ちてしまいそうになってしまいます。
あなたは、小石を手に入れ、それをズボンのポケットのなかに入れてみます。
それでも、まだ完全にバランスが取れないので、さらに小石を集めて、ズボンの反対のポケットや、胸のポケットにも入れてみました。
それでもダメなので、クツのなかに小石を入れてみたり、重い石を入れたリュックサックを背負ってみたり。
頭の上に分厚い本を乗せたりもしてみましたが、なかなかうまくバランスは取れないのです。
そうこうしているうちに、いろいろなものを持ったり身体に付けすぎて、重くて重くてたまらなくなってしまいます。
とうとう、こんな細い綱の上で、もう一歩も前に進むことができなくなってしまったのです。
どうすればいいのか、わからなくなってしまったのです。
しばらくは、そんなふうに途方にくれていましたが、やがて、ふと気づいて、身体に乗せた重りをひとつ外して捨ててみました。
すると、少しだけ身体が軽くなりました。
さらに、捨てた重りの分のバランスを取るために、反対側のものも捨ててしまいます。
もっと身体が軽くなります。
あなたは、次から次へと、身体の上の重りを捨てて行きます。
どんどん身体が軽くなっていくではありませんか。
ついには左手に持った箱を捨て、残っているのは、右腕に抱える木箱だけになりました。
あなたは困ります。
この木箱のなかには、とても大切なものが入っているはずです。
捨てたくはありませんが、このまま持ち続けていると、バランスを崩して、綱から落ちてしまいそうなのです。
かといって、木箱から大切なものを出すと、無くしたり盗られたりしてしまうかも知れません。
でも、せっかくここまで身軽になれたのです。
木箱を捨てるつもりで、思い切って開きいてみました。
木箱のなかには、不思議なことに、何も入ってはいませんでした。
その瞬間、すべてがわかりました。
本当に大切なものは、こんな木箱には入っていないのだと。
それは、自分のなかにこそあるものだと。
そして、ありもしないものを守るために、余計なものを身につけることなどなかったということを。
……なぜ立ち止まっているのですか。
何を守ろうとしているのですか。
あなたが決めさえすれば、あなたの望みは、すべて叶うということを、本当は知っているはずなのに……
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2006年05月24日 コメント&トラックバック(0) | トラックバックURL |
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