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【癒しのことば】Vol.315 2001/10/15
総発行部数:12,698部
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※古今東西の名言から、ストレスを和らげ心を癒すことばを月~金の毎日お届
けします。
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「世界がどうあるか、が不思議なのではない。
世界がある、ということが不思議なのだ」
-- ヴィトゲンシュタイン(オーストリアの哲学者)--
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「ねえ、どうして地球があるの?」
図書館へ行ったときに、ふいに小学生の娘がそう聞いてきました。
子どものための科学書などのコーナーの前で、雨がなぜ降るのかということ
を図鑑を見ながら、知ったかぶりで教えてやっていたときのことです。
そのなかに地球の断面図のようなものがあったので、それを見て娘はそんな
疑問を持ったのでしょう。
私は、別の解説書を探し出して、地球についてあれこれ説明してみました。
地球はどうやって誕生したと考えられているのか、広大な宇宙のなかでどん
な位置にあるのか、太陽などと比べて大きさはどうなっているのか・・・
ところが、その答えは娘を納得させるものではなかったようでした。
「でも、どうして地球があって、その上にわたしがいるの?」
さらに、そんな質問を返してきたのです。
私は、返答につまりました。
確かに、この地球については、その仕組みを、いろいろな研究の成果に従っ
て解説してみることはできます。
でも、なぜ地球そのものがあるのか、ということに関してはどうでしょう。
とても、その理由を娘が納得できるように説明することはできません。
第一、私自身が、その疑問に対する明確な答えなど、持っているはずもない
のです。
そもそも、私が信じている地球の研究にしたって、自分がこの目で確かめた
わけでもありません。
そう説明されているからということを、勝手に信じているだけのことに過ぎ
ないのかも知れません。
そういえば、私も子どものころには、同じような疑問を感じていたような気
がします。
「どうして、この世界は存在するのか」
というような・・・
果たして、その疑問に対して私はどういう回答を得たのでしょうか。
あるいは結局わからないままだったのなら、そのことにどう折り合いをつけ
たのでしょうか。
そんなことを考えたこともなかったし、覚えてもいなかったのです。
・・・私はしばらく、ちょっと奇妙な感覚に襲われてしまいました。
考えてみれば、この世界は不思議なことだらけです。
子どもにとってみれば、わからないことばかりで、何もかもが疑問だらけな
のでしょう。
無理もありません、まだこの世の仕組みなどが、よくわかっていないのです
から。
では、大人は、この世の仕組みがすべてわかっているのでしょうか?
ひょっとしたら、わかっているのではなくて、日常生活のなかで、すべてに
慣れてしまっていて、不思議を不思議と思わなくなっているだけなのかも知
れません。
わからないことがあっても、これまでの経験で、これはこうなんだ、あれは
こうなんだ、と自分なりにわかったつもりになっているだけではないでしょ
うか。
確かに、考えても考えなくても、あるものはあるし、それはこうなるという
ことは、当たり前だとも思えます。
でも、その当たり前は、本当に当たり前なのでしょうか。
そういえば最近の私は、何かをやろうと思っても、何となく物事の成り行き
が見えてくるような気がして、結局やらないということが多かったのです。
やってもいないうちから、何が起こるか、どうなるかということまでわかっ
てと思い込んで、簡単にあきらめてしまっていたようです。
しかし何が起こるか、はじめてみれば物事がどういう経過をたどるか、など
本当はわかるはずもないのです。
何もかも、わかったつもりになっていて、いろいろな可能性や、本当に大切
なものがわからなくなっていたのかも知れません。
やってみないと、それがどんな結果になるかわからないのですよね。
この世界では本当はどんなことでも起こりうるものなのでしょう。
そして私たちが、今ここにいるのは、自分の潜在力や可能性をこの世界で実
現させていくためなのかも知れません。
わからないものをわからないと思える心、不思議なことを不思議と感じる心。
そんな心を大事にしていれば、この世界はもっと可能性に溢れ、もっと楽し
く多くのものに感謝できるのでしょう。
私は、娘に、
「地球があるのはね、自分がやりたいことを、やるためにあるんだよ」
と、思わず言っていました。
娘はこんな親父に、何を聞いても無駄だと思ったのか、すでに他の本を見は
じめていて私のことばが聞こえたのかどうかはわかりません。
でも私にとっては、またこの世界がすばらしさを実感できた瞬間だったので
す。

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