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【癒しのことば】Vol.257 2001/7/2
総発行部数:11.706部
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※古今東西の名言から、ストレスを和らげ心を癒すことばを月~金の毎日お届
けします。
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「完全を求めることは、人間の心を悩ませるこの世で最悪の病である」
-- エマーソン(アメリカの思想家)--
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小説家の宇野千代さんは、『おはん』というすばらしい作品を書きあげたあ
と、しばらく何も書くことができなかったそうです。
もっと良いものを書かなくては、と思うとまったく筆が動きません。
前の作品よりも、もっとすばらしいことば、完全な文章ではじめようと、気
ばかりがあせり、1行も書くことができないのです。
そして、頭のなかには、
「自分はもう書けない。もう才能も枯渇して、書くことがなくなってしまっ
たのではないか……」
という思いが駆け巡ります。
ところがある日、宇野さんは、中村天風さんに会い、こんなことを言われま
す。
「人はどんなことも自分の思ったとおりになる。できないと思うものはでき
ないし、できると信じることは、どんなことだってできる」
それからしばらくして宇野さんは、とにかく書いてみることにしました。
ほんの2,3行でしたが、何とか書けたのです。
「書ける!」
そんなよろこびが沸き起こり、また少し書きました。
気がつくと、1枚、また1枚と書いているのです。
「ひょっとしたら、私はまだ書けるのではないか」
そう思った瞬間に、前と同じように書けるようになり、その後も次々とすば
らしい作品を残されています。
「やるからには、できるだけ完全であることが大事だ」
私たちが、何かをしようと思ってもなかなかはじめることができないときは、
そんな考えにとらわれていることが多いようです。
もちろん、何ごともより良くなろうとがんばることは、すばらしいことです。
ところが、それが行きすぎて、「完全主義」という病に冒されてしまうと、
どんにがんばっても、めったに満足を感じることができません。
そして、そんな完全でない自分を嫌悪してしまうのです。
他人に受け入れられ、愛されるためには、もっともっとちゃんとしなくては、
と絶えずがんばってしまいます。
でも、どんなにがんばっても、どんなにうまくやっても、まだ完全でないと
ころが目についてしまうのです。
さらにそれが続くと、自分を小さなワクに限定してしまうことにもなりかね
ません。
そんな人は、自分が充分やれると確信できることだけに取り組むか、完全に
できないのなら、何ごとにも手を出さないようになってしまうからです。
でも、完全でないからといって、本当に自分を受け入れていないのは、他人
ではなくて自分自身なのではないでしょうか。
完全であろうとなかろうと、私たちの価値にはなんの違いもないのです。
それに、この世界に完全なものなど、めったに存在しないようです。
そんな幻を追い求めるよりも、いつも自分としてのベストを尽くすことに意
識を向けてみてはいかがでしょうか。
何ごとにも、ワクワクしながら取り組んでみるのです。
それが『完全主義』という病によく効くクスリなのかも知れません。
その成果は、私たちが前に進んでいる限り、これからいくらでもより良くし
ていくことができます。
大事なのは、それに取り組んだ自分に満足を感じることなのです。
……この世に、もし完全なものがあるとしたら、まさしくそれなのではな
いでしょうか。

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